人生いろいろ江戸川柳

江戸川柳の中に現代がよく描かれています。今を楽しく学習できる。江戸を見れば現代が分る。

人生いろいろ江戸川柳 「す」

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菫(すみれ) 季節の花300 https:www.hana300.com/

スミレ全般の花言葉「謙虚」「誠実」「小さな幸せ」

紫のスミレ「貞節」「愛」

白いスミレ「あどけない恋」「無邪気な恋」「純潔」

黄色いスミレ「田園の幸福」「つつましい喜び」

 

1 摺 鉢(すりばち)

 すりばちを借りて亭主のあらを言ひ

 江戸の朝は摺鉢で味噌をすることから始まる。味噌汁をつくるにも味噌和えをつくるにも江戸の庶民にとってすりこ木とすり鉢は欠くことのできない調理具である。

 朝帰りの亭主との一戦にとばっちりを受けたすり鉢は壊れてしまう。隣にすり鉢を借りに行くと隣の女房も経験者、かっかしている隣の女房に男とはそんなもんだと慰める。

  負けてゐなさいと摺鉢かしてやり

すりこ木とすり鉢は江戸の庶民の生活句のいい材料であった。

 

2 捨 子  

 今すてる子にありたけの乳をのませ    親心。せつない。

 泣くよりもあわれ捨子のわらひ顔     泣けるなあ。貧しいこととは。

 拾はるゝ親はやみから手をあはせ     貧富の格差に手を合わせる。

 

3 粋・帥 (すい)

 来ぬが粋ならば伊勢屋と国家老      つぶれちゃうよ。来てよね。

  参考 伊勢屋=しまり屋の代名詞。国家老=融通の利かない頑固侍の代名詞。

吉原の名妓、四代目の高尾が曰く「粋じゃ粋じゃと言へど来ぬが粋なりと言えり」行くタイミングだな。どういうタイミングで顔を出すか。粋だね。

 

4 素壱歩 (すいちぶ)

 す壱分はげしなりませであんどする    余裕ないのに来てしまった。

  参考 す壱分=一両の四分の一。壱分は吉原の中級遊女の揚げ代。

げし=御寝。寝ることの敬称。壱分かっきり持っての登楼、どうぞお寝なさいと言われて一安心。

 ふんどしをひねくり廻し壱分出し     壱分は俺にとっては大変だ。

 

5 居風呂 (すえぶろ)

 居風呂で明日の峠があんじられ      もうひと頑張りだな。

 大そうな道さとあんまもんで居る     どぞ御無事でおかえりなさい。

 居風呂のしまいどぶから湯気が立ち   温泉場では1日中立ってます 

      

6 すかし屁 

 すかし屁で百万遍の中だるみ      笑いをこらえると出そうだ。

  参考 百万遍=浄土宗の人々が集まって大数珠をくりながら百万遍唱えること。

 互ひに見合わす顔と顔すかしたの    おれじゃねえよ。ほんと、ほんと。

 

7 すがれ

 ぶんぶんに寝るが夫婦のすがれ也    静かな遊行ライフです。

  参考 すがれ=盛りが過ぎて衰える様子。ぶんぶんに=別々に。

 大口をきくのが後家のすがれなり    何も失うものないもん。

  参考 大口=猥談。おおさかのおばちゃんを連想してしまう。失礼。

 

元禄前句附 1 (前句)寝るほど寝ては心よきもの

百億の黄金も下戸はもち腐(ぐさり) (前句)寝るほど・・・

 どんなに財産を持っていても酒が飲めないやつは可哀そうだよ。酔ってぐっすり寝て、気持ちよく目覚めることのすばらしさ。金のないやつの慰めかも。

      2 (前句)移り香たゝむあけぼのゝ蚊屋

 

来ぬ君の科(とが)を枕にいふは無理 (前句)移り香・・・

         科=咎められる行為

 夏の夜。あなたを待って夜更かししました。どうしてどうして、人の気も知らないで。枕に残るあなたの移り香。ああ、夜が明けましたわ。

人生いろいろ江戸川柳 「せ」

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 石 竹 季節の花300 https:www.hana300.com/

花言葉は「女性の美」「思慕」「粋な愛」「あなたが嫌いです」「才能」「無邪気」「大胆」「貞節」「快活」「中年の恋」「粋な愛」「至急」「お見舞」「あなたが嫌いです」など

 

1 関 所(せきしょ)

  関所前女をなぶりなぶり行き

   関所=箱根、今切、碓氷、栗橋のような要衝で通行人を取り締まる役所。

  なぶる=からかい、ひやかす、ばかにする

 「入鉄砲に出女」を警戒していた当時は、特に女性に対する身体検査は厳しかった。関所に近づくと連れの男が「なぶりなぶり」歩き始める。まさかと思いながら女は不安の表情でいっぱいになる。

 実際には不審な女がいれば関所婆がいて本格的に取り調べることになる。

  御妾は箱根でさぐる話をし

  さぐる=乳房をさぐられる意

  ひょっとしたらこんなお役人もいたのではと想像させる一句である。

  まくるだと女をおどす関所前     すごいことだ。

 

2 蟬 

  つかまると蟬は地声で鳴ている     あれが地か。

 蟬のなく下に子供が二三人       よく見かけた昭和。

 蟬がなき出すとお世話になりました   通り雨、もう大丈夫だ。

   江戸川柳  前句附  冠附(上五) 沓附(下五)

 江戸川柳を鑑賞するときはその表現形式を知っておくとよいようである。中でも代表的なのが前句附である。点者(選者)がお題を出し、それに対して五七五の十七文字で答える。読み上げる時は575の後に続けて前句をよむ。

  有名な前句付 江戸川柳 三句

ぬす人をとらえてみれば我子なり(前句)きりたくもあり切りたくもなし

さやかなる月を隠せる花の枝  (前句)きりたくもあり切りたくもなし

心よき的矢の少し長きをば   (前句)きりたくもあり切りたくもなし

冠附(かんむりづけ)は上五に、沓附(くつづけ)は下五にお題を読み込む。

今、NHKで行われている「ぼやき川柳」は以上の表現形式をすべて認めた作句方法で誰もが気楽に自由に楽しめる新しい川柳である。

「ぼやき川柳」平成30年2月17日のお題は「あやしい」「大切」

デュエットのうまさに仲をあやしまれ  埼玉県の君塚 巖

大切と言われ続けて平社員       泉南の新たまねぎ

壊れたと妻は言うけど壊したな     (あやしいことあやしいこと)

                   広島県の江波ジーさん

  江戸川柳とぼやき川柳を比べて鑑賞していくと江戸と平成が面白いほどよく理解できる。庶民の生き方がよく伝わってくる。「ぼやき川柳」は健康になかなかのよい番組である。

 

3 施餓鬼(せがき)

  大施餓鬼してから後妻気が軽し   やっと落ち着くわ やれやれ

   参考 施餓鬼=祖先をまとめて追善供養する寺の行事

 

4 関 取 (せきとり)

  関取は碁盤で消すが座敷芸     碁盤片手で蝋燭の火を消すのか

 関取の悴おもひのほか小兵     悴(男根の異称)、意外とねえ。

 

5 女 衒 (ぜげん

   参考 女衒=婦女売買を斡旋するもの。

  泣顔があのくらいだとぜげん言い    泣き顔まで銭の内か

 十年は夢でござるといふぜげん     いい加減なこと 大変だよ

 

6 咳 払 (せきばらい)

  色色に用立てられるせきばらい     咳払いの意味いろいろ

 すばらしいせきも大屋の道具なり    威厳 はったり おどしに

 雪隠へ行けば両方せきばらい      あいてるか はいってます

 

7 仙 人 (せんにん)

   参考 仙人=久米仙人、吉野で修業して飛行の術を身につけたが、まだ未熟仙人で吉野川で洗濯する女の白脛をみて墜落。

  仙人さまあとぬれ手でだきおこし    仙人さま、しっかりしてよ 

 仙人をしろうとにする美しさ      仙術もきかなくなるんだ

 女湯を見たらとそしる仙仲間      たけた仙人、年の功だな

 黒い所まで見ようなら久米仙人即死   純が仙人への受験資格

 

人生いろいろ江戸川柳 「も」

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桃の花 季節の花300 https:www.hana300.com/

花言葉は、「私はあなたのとりこ」「天下無敵」「気立ての良さ」

 

1 申し子(もうしご)

 申し子は夢ばかりでも出来ぬなり

  申し子=神仏に願って授かった子。

 「ばかな。」神や仏が夢枕に立ったからといってそれだけではないよねえ。江戸っ子の健全な庶民感覚。だから、聖母マリア処女懐胎も江戸っ子は「ばかな。」の一言で終わる。

 申し子は出居衆の顔にいきうつし

  (出居=寄留者、実はこれの仕業)

 申子の跡で年々申さぬ子

  (神に願っての後は癖がついたのかなあ。続々とできる。)

 

2 孟 子 

 おっかさん又超すのかと孟子言ひ  お前のためだよ。がんばろう。

 習わぬ経を覚へたで孟母越し    目的達成。さて、次はどこへ。

 荘子のは夢が花野をかけ廻り    荘子は夢に蝶。芭蕉は枯野を・・・。

 

3 物 思

 掃く先をやうやうと立つ物思ひ    さっさとどいてよ。あんたあ。

 母おやもともにやつれる物思ひ    娘のことは娘にまかせなさい。

 のびた首ちゞめて鷺の物おもひ    一本足で何考えてんの。

 物思ひ下女雑巾も手につかず     若旦那、それとも大旦那。

 

4 門 番(もんばん)

 附けとどけせぬと門番こりゃどこへ   鼻薬効果てきめん

  参考 門番=武家屋敷の門番、出入りの商人や屋敷の侍の夜遊びに「こりゃどこへ」が付け届けには欠かせぬ。

 門番は綱をゆるめて二百とり     夜遊びの相場は三百文だぞ

 御門番酒の切手が物を言い      酒は効きますねえ

  参考 切手(きって)=関所の通過や乗船などの際の通行証。金銭を受け取りまたは預かった証拠の券。手形。

 

5 物 申(ものもうす)

 物申があって一ト先づ叱りやめ   チョットタイム 後でな!

  参考 物申=来訪を告げる言葉。ごめんください。

 物申に手間をとらせるまっぱだか  ワアー、コリャコリャ 着物

 

6 餅(もち)

 餅はつく是からうそをつくばかり   うそついて大晦日を乗り切るぞ

  参考 大晦日は掛け取りの最終日で江戸時代の年2回の集金日に当たる。庶民にとっては大変な大晦日である。

 

7 もてる・もてぬ

 裏からひとりで来なんしともてた奴   来る来る何度でも来る

  参考 もてる=遊里語で厚遇される意。裏=初めて会うのが初回、」二度目が裏。

 もてた奴又苦労して一分ため  一分たまったらとんで行く

 

人生いろいろ江戸川柳 「ひ」

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ヒヤシンス 季節の花300  https:www.hana300.com/

ヒヤシンス全般の花言葉は、「スポーツ」「ゲーム」「遊び」「悲しみを超えた愛」

紫のヒヤシンスは「悲しみ」「悲哀」「初恋のひたむきさ」

赤いヒヤシンスは「嫉妬」

ピンクのヒヤシンスは「スポーツ」「ゲーム」「しとやかなかわいらしさ」

白いヒヤシンスは「控えめな愛らしさ」「心静かな愛」

青いヒヤシンスは「変わらぬ愛」

黄色いヒヤシンスは「あなたとなら幸せ」「勝負」

 

1 膝 枕(ひざまくら

 ひざまくらあながち寝入る気ではなし

 べつに寝るために膝枕をするわけではない。好きな女の膝を枕にするだけで男と女のいい雰囲気だ。なんとも。

 かげぼしの一つかくれるひざまくら

 女の影だけが残るドラマを見るような風景。想像が広がる。

 膝が肘になると雰囲気ががらりと変わる。

 ひじをまげ枕として乳をほうばらせ

 赤子の横に寝そべって添え乳する母親。いざというときはいつでも起きられる態勢で横になる。生活実感が漂う。母ちゃんがんばる。

 畳と障子の部屋が少なくなっていく今は膝枕や肘枕は遠い昔の話になっていく。日本の情緒が無くなっていく。建築様式の変化で新しい情緒が定着していく。

 

2 人 魂

 間に合はぬ医者人だまを道で見る   遅かったのね。成仏を。

 上戸の人玉やったらに跡を引     酒のみはこれだから。いや。

 人魂の頓死と見えて矢のごとし    はやかった。光陰矢の如し。

 人魂も労咳やみはぶらぶらし     ぶらぶらと栄養ばかりとりました。

 金もちの人魂行きつ戻りつし     残した金が気にかかる。

 うねくって飛ぶ人魂はしうとばゞ   曲がって、厳しいばゞの影

 間ぬけな人魂ひるてんに引かゝり   カスミ網にかかるなんて。

 抱きつかれるも人玉のおかげ也    一期一会のご縁かも。

 

3 緋縮緬

 飛石がちらりと見せるひぢりめん   蹴だしちらりと料亭の庭

  蹴だし=腰巻の上に重ねて着るもの。

 緋ぢりめん虎の皮より恐ろしい    虎のふんどしが何でえ。

 緋ぢりめん少しは風も吹かせたし   今も昔も風だのみ。神風さーん。

 緋ぢりめん白い所をなめるやう    柔らかいいい風だ。

 

4 姫 始(ひめはじめ)

  参考 姫始は暦の用語。正月2日に記された日柄(ひがら)の名。古来諸説があり、意味不明で説が定着していない。 ①正月に姫飯(ひめいい)を初めて食べる日。②飛馬初めの意、乗馬始めの日。 ③姫糊始の意で、女が洗濯・張物などを初めてする日。 ④新年に夫婦が初めて交合する日(好色一代男)江戸の庶民も諸説紛々で「何をする日にするか。」で意見が分かれた。そこで知恵者が。

 かましやするにして置け姫始め   するにしておくのは見事な対応。

  

5 日済貸(ひなしがし)略して、(日なし)

  参考 日なし=高利貸しで元利を毎日少しずつ取りに来る。

 どうだなと戸へ寄りかゝる日なし貸  嫌な感じ、お前も悪よのう

 言ひわけに女房日なしへ身をまかせ  姦通は5両だぞ。わなかも。

 

6 一人者(ひとりもの)
  友だちに寝るぞ帰れとひとりもの

  壱人もの行っていやれと連れへ鍵

  壱人者客にしばらく留守をさせ 

  一人者は気楽に生きていたようだが、つぎのような句もある。
  壱人者内から〆て頓死する   今も昔も孤独死が多かったのだろう。

7 冷 水(ひやみず)
  新造を冷水が来て揚げるなり   しょうのない爺さんだ。
  参考 冷水=年寄りの冷水。新造=若い遊女で、まだ部屋を持たずに姉女郎の管理下にある。

  新造は後家になる気で請出され   歳の差婚。覚悟の上よ。

8 昼 寝(ひるね)   
 参考 江戸の町人は夏の昼寝をよくした。夫婦で昼寝をする時は気を使ったようである。
  夫とは向きをちがへて昼寝する   並んで寝るとねえ。

  天文の稽古ははゞにひるねをし      見習いの

人生いろいろ江戸川柳 「し」

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春 蘭 季節の花300 https:www.hana300.com/

別名「じじばば」。花姿をこまかく見ていると上の方に、おばあさんが

頭にかぶる”ほっかむり”、下の方に、おじいさんの ”白いひげ”、がある

ことから。

 

1 蜆(しじみ

 東下りまではつねの蜆なり

 東下り在原業平の東国への旅をさす。

 本所業平橋のあたりは蜆の名産地で、業平蜆という。業平が来る前まではただの名前のない蜆であった。

 それ迄は只の寺なり泉岳寺  (了 解)

 美男美女蜆と紅に名を残し  (いいな、いいな)

 業平蜆と小町紅、名をのこすのは日本だけではない。世界中で人の名前の付いた建造物や食べ物や衣服などがある。

 

2 始皇帝 

 いさめるとあなだと始皇おどす也   禁固、投獄、情報で潰す現代。

 始皇帝=秦の皇帝、焚書坑儒を命じた独裁者。昭和10年代の日本の軍閥政府も禁固し、投獄し、また、危険な戦地に配属した。

 

3 叱る、呵る

 女房をしかりすごしてめしをたき     なんであんなに、後の祭り。

 女房をしかると膝でべそをかき      べろべろばあ。よしよし。

 しかられるたびにむす子の年が知れ    もう、いくつになったんだ。ほんとに。

 しかられて今朝出たまゝと母苦労     しかればしかったで、心配の種。

 美しさ叱られぶりのいゝ女房       叱られても泣いても様になる。いい女。

 

4 字

 よめぬ字を何(なに)といふ字によんで置き  これでいこう。

 串といふ字を蒲焼と無筆よみ         味があるな。

 林といふ字拍子木とよみもよみ        頭いい。

 

5 汐 干

 品川に不二の影なき汐干狩      春霞で富士山が見えん。

 ぱらりっと汐干は人をまいたやう   どれぐらい取れました。

 汐干には舟の無いのが先キへにげ   ぼつぼつ、満ちてくるぞー。

 二三日汐干で鍋がやかまし     今夜もあさりか。うまい。

 

6 敷 居

 高い敷居を弐三寸酒が下げ      酒の勢いでもなけりゃなあ。

 高い敷居の踏台に母がなり      母さんには頭が上がらないよ。

  

 

 

人生いろいろ江戸川柳 「み」

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ミモザの花 季節の花300 https:www.hana300.com/

ミモザアカシア花言葉は、「秘密の恋」「友情」

 

1 見 合(みあい)

  後生願ひのふりをして見合ふ也

 後生願ひ=来世の安楽を願い仏を信心すること。

11月末の本願寺の御講には娘や息子を連れて参詣者が多い。

 初めて赴任した土地では、小高い山の登り口に禅宗のお寺があり、町民の大多数が信徒である。山の南側斜面いっぱいに墓が立ち並び海を眺めている景色は流石漁師町であると感心した。

 お盆には山の斜面いっぱいに灯がともされ夕暮れ時になると墓参りの人で路があふれた。

 学校を出て遠くに就職した娘や息子たちが親元に帰り親と一緒に墓参りに行くことがこの地方の一大行事であった。

  その年の秋には何組もの縁談がまとまって町は活気があった。

  本願寺の御講も目的は信心よりも結婚相手に巡り合うことを願って参詣する。いずこも同じ親心がしみじみと伝わってくる。

 水茶屋も感づいて居る恥かしさ

 気に入らぬ方が水茶屋早く立ち

   水茶屋はお見合いの場所として繁昌した。

 水茶屋=お茶を飲ませる茶見世。寺社の境内などに多く浅草の20軒茶屋が有名。葉茶屋、料理茶屋、色茶屋、出合茶屋などもある。

 

2 水茶屋 

 水茶屋の娘の顔でくだす腹    腹をくだすまでお茶を飲む馬鹿。

  水茶屋=葉茶屋・料理茶屋・色茶屋・出会茶屋などに対してお茶を飲ませる茶見世。浅草の二十軒茶見世が有名。

  今も昔も美人を置いて客呼ぶのは同じ。

  さわらば落ちん風情にて茶やはやり   誤解させる方が悪いのか。誤解する方が悪いのか。

 水茶屋でせいいっぱいが手をにぎり   純なお方。朗報があるよ。

 うら表ある水茶屋ははやるなり     社長さん。別室あるよ。

 

3 神 子

  神子の舞いやな目をすゑ腰をすゑ   神に奉仕する女をそんな目でる。

 弁天のようだとはやる神楽堂     そろえましたねえ。美女軍団。

 

4 三浦屋

  尻がちいさいと三浦屋まだ不足    もっと肉を喰わせておけば・・・

   参考 三浦屋=吉原の妓楼。上級遊女高尾は三浦屋のお抱え。仙台侯が高尾の体重と同じ重さの黄金で身請けした時、たぶんもっと尻が大きく体重が重ければと思っただろうにと。

 

5 三 河

  伊勢よりも三河は顔がのどかなり     いい年を迎えた。借りなしやで。

 三河から暮の機嫌を来て直し       おめでとさん。ありがとね。

  参考 江戸には年末に伊勢より御師(おし・おんし)が暦を配りに来、

  新年には三河より万歳をしにやってくる。歳末は掛け売りの代金を取り立てる月であった。庶民にとっての年末は年を越せるかどうかという大変な月であった。

 

6 神酒徳利(みきとくり・みきどくり)

  みき徳利きゃたつの上でふって見る    おおう。はいってるかな。

 神酒徳利一つこわして二つ買ひ      対でそろえなならんのや。

 橘と桜は御所の神酒徳利         左近の桜、右近の橘

  参考 神酒徳利は日本で一対。仲良し夫婦のことをお神酒徳利などと言う。

 

7 水 揚(みずあげ)

  水あげがすむと遣手もさまをつけ

   参考 水あげ=生け花の用語から、遊女などが初めて客に接すること。

     遣手(やりて)=妓楼で遊女を取り締まり、万事を切り回す女。これから腕

     前のある人のことを遣りてというようになった。

     水揚げが終わると大切な商品になるので呼び捨てにしないようになる。時期

     は15・6歳頃から。箱入りにして遊女に相応しい教養や芸事を仕込む。

人生いろいろ江戸川柳 「め」

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メロン

メロン 季節の花300 https:www.hana300.com/

 

1 目

 先ず目と目それから手と手口と口

 このコミュニケーションが抜け落ちた現代は男女関係がうまくいかない。スマホでいくらやり取りしても、体温が伝わらない。

 気があれば目も口ほどに物を言ひ

には、遠く及ばない。

先ず、いはずかたらず我心目で知らせ

コミュニケーションの初めは目から。そして手と手、口と口。

江戸の生き方を学び、恋の基礎基本を見直そう。

 

2 妾  

 江戸時代、妾は合法であった。芭蕉は結婚をしなかったが妾は持っていたようである。

 なお、江戸では「めかけ」上方では「てかけ」というそうである。目をかけるか。手をかけるかの違いはあるが、役割はどちらも同じ。

 御主人と思はぬめかけ首尾がよし     奔放、大胆さに惹かれるものだ。

 めかけのはねだり下女のはゆすり也    非合法の弱み。ゆすられますよ。

 めの字からへの字になるとつけ上り    世継ぎを生んだお部屋様、様

 おめかけの威勢は股で風を切り      小股が切れ上がって粋だね。

 

3 名 物

 しぎ立沢で蒲焼を弐百食ひ        神奈川大磯の渓流で蒲焼

心なき身にもあはれは知られけり鴫立沢の秋の夕暮(西行)も蒲焼食ったのかなあ。

 さざゐ殻海へぶち込むさった坂     さった峠の下の海でサザエを喰って、駿河

                     湾に浮かぶ富士を見ながら、峠越えだ。

  俗な道の記あべ川をほめてあり      静岡の安倍川餅

 丸子の喧嘩すりこ木をやたら出し     静岡名物丸子のとろろ汁

 もう降ってもよいと飴の餅を喰い     東海道小夜の中山飴の餅

 日坂の山を旅人が喰ひへらし       掛川日坂(にっさか)宿のわらび餅

 武者はなほ酒まできつい三河もの     愛知三河鬼ころし

 蛤はため小便をたれて食い        三重は桑名の蛤よ

 広いこと馬も乗込む姥が餅        滋賀県草津のうばが餅

  東海道、道中記を書く代わりに名物を喰う。いつまでも腹に残る。

 

4 女 敵(めがたき)

 めがたきはうつ方が憎ていなつら     どう見ても敵の方がいい男だな。

  参考 女敵=自分の妻と密通した男。憎ていなつら=人相が悪い。

 

5 目 黒

 畳をたたき立てどこの目ぐろだよ     焼くほど亭主持てやせんで。

  参考 目黒=江戸の南郊、目黒不動は28日の縁日に参詣が多い。近くに品川がある。

  目黒と言って品川に直行する方もいる。

  畳をたたき立てて腹を立てる。この場合女房の焼餅。

 

6 飯 焚(めしたき)

 めし焚に婆アを置いて鼻あかせ    手をつけるならどうぞ。あんた。

 

7 目見得(めみえ)

  目見え乳母大はだぬいで両手つき    みてください。よく乳でるよ。

  参考 目見得=面接試験。奉公人を雇うときの主人の面接。